カメラで「レリーズする」とは、シャッターを切ることです。また、カメラ本体のシャッターボタンを直接押さず、遠隔で撮影するための道具も「レリーズ」と呼ばれます。「レリーズを使う」という話なら道具、「レリーズモードを変える」という話ならカメラの設定、と文脈を分けると意味がつかめます。
道具として必要かどうかは、撮りたい場面次第。三脚で夜景を撮り、ボタンを押すときのブレを減らしたいなら、セルフタイマーも選択肢です。一方、長時間シャッターを開けるバルブ撮影では、対応するリモコンが便利。まず言葉の意味を押さえ、そのあとで撮影方法に合う操作手段を選んでいきましょう。
- レリーズの動作・道具・設定という意味の違い
- 夜景やバルブ撮影で役立つ理由
- 有線・無線・セルフタイマー・スマホの使い分け
- 対応機種と必要な操作を確認する選び方
カメラのレリーズとは?意味と役立つ撮影場面
「シャッターを切る動作」と「遠隔操作する道具」の両方を指す

レリーズは英語の「release」に由来し、「解放する」という意味です。ニコンの解説では、カメラでシャッターを切ることを「レリーズする」と説明しています。撮影の説明にこの表現が出てきても、必ずしも専用アクセサリーを使うという意味ではありません。
一方、アクセサリーの話では、遠隔でシャッターを切る装置を指します。ニコンも、レリーズボタンやレリーズケーブルが「レリーズ」と呼ばれる場合があると案内しています。商品を探すときには「リモートスイッチ」「リモートコントローラー」といった名称も出てきます。
キヤノンのEOS R向け案内では、有線のリモートスイッチと、Bluetoothで接続するワイヤレスリモートコントローラーが紹介されています。
| 言葉が出てくる場面 | 指しているもの |
|---|---|
| 「レリーズする」 | シャッターを切る動作 |
| 「レリーズを接続する」 | 遠隔でシャッターを切るための道具 |
| 「レリーズモードを設定する」 | 単写・連写など、シャッターを切るときの動作の設定 |
つまり、「レリーズとシャッターの違い」は、動作の話か道具の話かで答えが変わります。動作としてのレリーズはシャッターを切ること。道具としてのレリーズは、その操作をカメラから離れたところで行うためのものです。
レリーズモードは単写・連写・セルフタイマーを選ぶ設定
カメラのメニューにある「レリーズモード」は、アクセサリーの商品名ではありません。シャッターボタンを押したときに、どのように撮影するかを決める設定です。ニコンの用語集では、1コマ撮影、連続撮影、セルフタイマーなどが挙げられています。
1コマ撮影なら、シャッターボタンを全押しするたびに1枚ずつ撮影。連続撮影なら、全押ししている間、連続して撮影します。「1枚だけのつもりなのに何枚も撮れてしまう」というときは、連続撮影になっていないかを見るのが手がかりです。低速・高速の連続撮影で設定できる速度は、機種によって異なります。
ここで分けたいのは、「どこから操作するか」と「押したあとにどう撮るか」。リモートスイッチは操作に使う道具で、レリーズモードは撮影の動作を決める機能です。説明書でレリーズモードという言葉を見つけたからといって、専用のレリーズを買う必要があるわけではありません。
夜景など、シャッターボタンを押すときのブレを減らしたい場面

レリーズが役立つのは、夜間や低速シャッターでの撮影です。キヤノンはリモートスイッチの用途として、手ブレしやすい夜間撮影や低速シャッターでの撮影を挙げています。ニコンの夜景・星空撮影ガイドでも、ブレをできるだけ防ぐための道具としてリモコンが紹介されています。
とくに、長時間シャッターボタンを押し続けるバルブ撮影では、カメラ本体を操作し続けるとブレやすくなります。そこで、カメラを支える三脚と、離れたところからシャッターを操作するリモコンの出番です。ソニーのバルブ撮影案内も、この組み合わせを勧めています。
ただし、「レリーズを使えば必ずブレなくなる」と考えるのは避けたいところ。メーカーの説明も、ブレをできるだけ防ぐため、あるいはブレやすい撮影で便利な道具という位置づけです。まずは、カメラ本体のボタンに触れずに操作したいかどうか。ここを必要性の判断軸にすると、用途がはっきりします。
バルブ撮影では便利だが、専用レリーズが必須とは限らない
バルブ撮影とは、長時間シャッターを開けて撮影する方法です。ソニーのα向け案内では、M(マニュアル露出)モードでシャッタースピードを[BULB]にし、必要な時間だけシャッターボタンを押し続ける手順になっています。花火や星空、滝や川の流れを表現する撮影などに使われます。
本体のボタンを押し続ける方法も案内されているため、「専用レリーズがないとバルブ撮影はできない」とは言い切れません。リモコンが便利なのは、長く本体に触れ続ける操作を避けられるためです。また、ソニーには[BULBタイマー設定]で露光時間を指定できるカメラもあります。
必要な操作は、カメラ側にある機能によって変わります。
リモコン側の操作も一律ではありません。ソニーの案内では、ボタンを1回押して開始し、もう1回押して終了するタイプと、ボタンをロックしてシャッターを開いた状態を保つタイプが区別されています。バルブ撮影を目的に選ぶなら、単に「撮影できる」だけでなく、露光の開始と終了をどう操作するかまで見ておきたい点です。
長時間撮影には、撮影後の待ち時間にも注意が必要です。ソニーの案内では、[長秒時NR]または[長秒時ノイズ低減]を[入]にすると、シャッターが開いていた時間分のノイズ軽減処理が入り、その間は撮影できません。花火では次の打ち上げを逃す場合があります。
リモコンの操作だけでなく、撮影後の処理も含めてタイミングを考えましょう。
カメラ用レリーズの選び方とは?代用方法と基本操作
有線・無線は操作する位置と接続方法で選ぶ
有線タイプはカメラの端子にプラグを取り付けて使い、無線タイプにはBluetoothで接続するものがあります。選ぶときは、カメラのそばで操作するのか、離れた位置から操作したいのかを先に決めると、必要な方式が見えてきます。
| 比較する点 | 有線タイプ | Bluetoothタイプ |
|---|---|---|
| 接続方法 | 対応するリモコン端子へプラグを接続 | 対応カメラとペアリング |
| 操作する位置の判断 | コードの届く範囲を考える | 製品・カメラの案内にある通信距離を確認 |
| 具体例 | キヤノンのリモートスイッチ RS-60E3 | キヤノンのワイヤレスリモートコントローラー BR-E1 |
| 先に見る条件 | カメラの対応型番と端子 | 対応型番、接続登録、リモコン撮影の設定 |
たとえばEOS RでBR-E1を使う場合、キヤノンはカメラから最大約5m離れて撮影できると案内しています。使用前にはペアリング、つまり機器同士の接続・登録が必要です。静止画撮影ではカメラ側の設定に加え、リモコン側で「すぐに撮影」か「2秒後撮影」を選びます。
これはEOS RとBR-E1の組み合わせについての案内で、無線レリーズすべてに共通する距離や手順ではありません。
カメラの近くでボタン操作をしたいなら有線、コードをつながず離れた位置から操作したいなら対応する無線タイプが候補です。ただし、無線という名前だけで互換性は判断できません。EOS RではBR-E1に対応する一方、RC-6などの赤外線方式のリモコンは使えないと明記されています。
方式と対応機種をセットで見ることが大切です。
セルフタイマーやスマホで足りるかを先に考える


シャッターボタンを押すときのブレを減らしたいだけなら、セルフタイマーも使えます。セルフタイマーは、ボタンを押してから指定した秒数が過ぎたあとに撮影する機能。ソニーは、2秒のセルフタイマーを、三脚での夜景撮影など低速シャッターでブレやすい場面に勧めています。
この方法なら、対応する設定をカメラ側で選んで撮影できます。ただし、ボタンを押した瞬間ではなく、設定した時間が過ぎてから撮影される点が違います。待ち時間を置いて撮れる場面ならセルフタイマー、離れた位置から撮影操作をしたいならリモコン、という使い分けです。
撮影者も一緒に写る場合には、5秒や10秒のセルフタイマーが便利だとソニーは説明しています。
スマホが遠隔操作の手段になるカメラもあります。ソニーのバルブ撮影案内では、対応カメラとImaging Edge MobileまたはCreators’ AppをWi-Fi接続し、アプリのBULBボタンを左へスライドして露光開始、右へ戻して終了する方法が紹介されています。
対応する組み合わせなら、専用リモコン以外にも操作方法があるわけです。
ただし、スマホで遠隔撮影できることと、アプリでバルブ撮影できることは同じ条件ではありません。ソニーは、スマートリモコン内蔵版ではImaging Edge MobileによるBULB撮影はできないと案内しています。
アプリを使う場合は、対応カメラと必要な機能を確認し、撮影前にダウンロード、接続の準備、動作確認まで済ませておきましょう。
購入前はカメラの正式な型番と必要な機能を照合する
購入前に見る順番は、カメラの対応型番、接続方法、必要な操作です。ソニーも、カメラによって搭載していない機能や端子があるため、対応カメラの確認が必要としています。同じメーカー用という表示だけで決めず、手持ちのカメラの正式な型番を対応一覧と照合してください。
有線タイプの具体例が、キヤノンの「リモートスイッチ RS-60E3」です。公式の基本仕様では、半押し・全押しに対応する2段スイッチとレリーズロックを備えています。公式オンラインショップと製品仕様の両方に、EOS R、EOS R6 Mark II、EOS R7などが対応機種として掲載されています。
これらの対応機種で有線操作をしたい場合の候補です。
必要な機能は撮影方法に結び付けて選びます。通常の静止画撮影なら、ピント合わせと撮影をどう操作するか。バルブ撮影なら、ボタンのロックや、開始・終了を切り替える操作に対応するかがポイントです。「リモコン対応」という一言で、これらすべての操作が保証されるわけではありません。
古いカメラやアダプター経由の接続では、脚注も見落とせません。RS-60E3の公式仕様には、一部のフィルムEOSでリモートスイッチアダプターT3を併用する場合、全押しのON/OFFだけが使え、半押しは使えないという条件があります。対応の記載があっても、使える操作に制限がないかまで読むのが確実です。
基本操作は接続・ピント合わせ・撮影の順に確認する


最初は、選んだ道具をカメラが使える状態にします。EOS RでRS-60E3を使う場合は、端子カバーを開け、リモコン端子へプラグを接続。BR-E1の場合は、Bluetoothでペアリングしたうえで、カメラをリモコン撮影できる状態に設定します。有線の接続と無線の登録では、準備の手順が異なります。
次に、ピント合わせと撮影の操作を確認します。たとえばソニーのRMT-P1BTは、Bluetooth接続後にMOVIE/STILLスイッチを「STILL」に合わせ、レリーズ/RECボタンを半押ししてピントを合わせ、深く押し込んで撮影する方式です。
一方、EOS RでBR-E1を使う場合は、AFボタンでピントを合わせ、撮影ボタンで撮影します。リモコンの形が違えば、同じ操作が同じボタンに割り当てられているとは限りません。
ロック操作も製品ごとに覚えます。RS-60E3では、ボタンを押して前方へスライドするとレリーズロックが可能です。
バルブ撮影に使う場合は、カメラ側のBULB設定と、リモコン側の操作を両方確認しておきましょう。
ソニーのバルブ撮影案内でも、ロックを使う方式と、ボタンを押すたびに開始・終了する方式が分けて説明されています。
BULBが選べないときは、リモコンだけでなく撮影設定にも目を向けます。ソニーのα向け案内では、Mモード以外のほか、電子シャッターや連続撮影など、BULBを設定できない条件が挙げられています。搭載機能や名称には機種差があるため、手持ち機種のヘルプガイドで該当条件を確認する場面です。
レリーズは撮影を操作する道具。カメラ側の設定と組み合わせて使うことで、狙った撮り方につながります。
カメラのレリーズとは?意味と使い分けのまとめ
この記事のまとめです。
- 「レリーズする」はシャッターを切ること。遠隔操作用の道具もレリーズと呼ばれます。
- レリーズモードは、単写・連写・セルフタイマーなど撮影時の動作を選ぶ設定です。
- 夜景や低速シャッターの撮影では、ブレをできるだけ防ぐためにリモコンが役立ちます。
- バルブ撮影で専用レリーズが必須とは限りませんが、本体のボタンを長く押し続けずに操作できると便利です。
- 有線は端子への接続、Bluetoothタイプは対応カメラとのペアリングが基本です。
- ボタンを押すときのブレ対策には、対応カメラの2秒セルフタイマーも選択肢です。
- スマホ操作も利用できますが、対応アプリ・カメラとバルブ撮影の可否は別途確認が必要です。
- 購入前はメーカー名だけでなく、カメラの正式な型番、接続方法、必要な機能を照合します。
- ピント合わせや露光の開始・終了、ロックの操作方法はリモコンごとに異なります。
- BULBが選べない場合は機種別の設定条件を確認し、長秒時ノイズ低減による撮影後の待ち時間にも注意します。











