一眼レフで月を撮るなら、まずはMモードで、月の表面の模様が見える明るさに調整しましょう。晴れた夜にはっきり見える満月なら、F8〜F10・シャッター速度1/100〜1/400秒・ISO100〜200が出発点です。
夜空全体を明るく写そうとすると、月が真っ白になりやすいため、撮影後は月そのものを拡大して確かめます。
200〜300mmの望遠レンズでも、月の撮影に挑戦できます。画面いっぱいには写しにくくても、撮影後に切り抜く方法があります。まずは手持ちのレンズで、明るさ・ピント・ブレを整えるところから。ここでは月を単独で撮る基本を先に、三日月や風景と組み合わせる撮り方を後半で紹介します。
- 晴れた満月を撮るMモードの設定目安
- 200〜300mmの望遠レンズとトリミングの活用
- 拡大表示でのピント合わせと白飛び・ブレ対策
- 三日月・半月と風景を含む月の撮り分け
一眼レフで月を撮る基本|設定を取り入れた撮り方
満月はMモード・F8〜F10・低いISO感度から始める

月は夜空の中にありますが、月自体は明るい被写体です。オート露出では暗い背景の影響を受け、月が明るくなりすぎることがあります。そこで使うのが、絞り・シャッター速度・ISO感度を自分で調整するMモード。最初からぴったりの値を当てようとせず、目安で1枚撮り、月の模様を見ながら修正します。
| 設定項目 | 晴天ではっきり見える満月の目安 | 調整の考え方 |
|---|---|---|
| 撮影モード | Mモード | 月面の模様が見える明るさに合わせる |
| F値 | F8〜F10 | 夜だからといって開放にする必要はない |
| シャッター速度 | 1/100〜1/400秒 | 月が白い場合は速くする |
| ISO感度 | ISO100〜200 | 低めから始め、暗さや必要な速度に応じて上げる |
この範囲は、晴れた満月を撮る際の目安です。すべての月に共通する固定値ではありません。ソニーの月撮影ガイドでは、より広い目安としてF8〜F10、1/125〜1/800秒、ISO100〜400を示し、月の明るさや周囲の環境に応じた調整を案内しています。
数値をそろえることより、撮れた月の明るさを優先しましょう。
F値を大きくしすぎると、必要な明るさを得るためにシャッター速度が遅くなり、ブレが出やすくなります。また、ISO感度を上げすぎると細部のノイズが目立つ場合があります。明るい満月では低いISO感度を基本にし、速いシャッターが必要なときだけ感度を上げる、という順序で考えるとよいでしょう。
200〜300mmでも撮れる?望遠レンズと写る大きさ
200〜300mmの望遠レンズを持っているなら、まずはそのレンズで撮ってみましょう。タムロンの解説では、この焦点距離では月を画面いっぱいに写すのは難しいものの、適切な設定で撮れば、ある程度トリミングしてもきれいに写し取れるはずだと案内しています。
月が小さく写っただけで、撮影に失敗したと考える必要はありません。
一方、細かな地形まで大きく見せたい場合は、より長い焦点距離が必要になります。ニコンの月撮影ガイドは、クレーターの確認に400mm以上、さまざまな地形を楽しむには800mm以上を、経験上の目安として挙げています。ただし、これは絶対的な最低条件ではありません。
同ガイドも、まず手持ちの望遠レンズと撮影後のトリミングで試すことを勧めています。
望遠レンズの焦点距離を伸ばすアクセサリーが、テレコンバーターです。ただし、どのカメラやレンズにも装着できるわけではありません。使用すると開放F値が大きくなったり、オートフォーカスの速度が遅くなったりすることもあります。
「今のレンズをもっと望遠にしたい」ときの候補ですが、購入するなら組み合わせの互換性を確かめる必要があります。
三脚とセルフタイマーでブレを抑える

月を大きく写すときは、小さなブレも気になります。特に暗い三日月や、月と風景を一緒に写す場面では、シャッター速度が遅くなりやすいため三脚が役立ちます。最初に月の輪郭や模様を落ち着いて確かめたい場合も、カメラを固定して撮る方法が向いています。
三脚に載せても、シャッターボタンを押す際の振動でブレることがあります。レリーズがあれば活用し、なければセルフタイマーで代用しましょう。ソニーの解説では、セルフタイマー2秒を使う方法が紹介されています。まずはカメラに備わるタイマーを使えば、レリーズを用意する前でも撮影を始められます。
明るい満月なら、三脚なしの手持ち撮影も可能です。タムロンは、手ブレが気になる場合に1/500秒程度を試すこと、レンズやカメラの手ブレ補正をオンにすることを案内しています。速いシャッターで月が暗くなる場合はISO感度を上げ、それでも暗ければF値を小さくして調整します。
手持ちでも撮れることと、暗い月まで同じ条件で撮れることは分けて考えましょう。
三脚使用時の手ブレ補正は、カメラやレンズの説明書に従います。
機種によってはオフにしたほうが安定することもあるため、手持ち撮影の設定をそのまま引き継がず、ここだけは使用機材に合わせて決めてください。
ピントは月の輪郭を狙い、合わなければ拡大してMF
ピント合わせは、まず月を画面中央に入れ、1点AFやスポットAFで月の明るい部分を狙う方法があります。うまく合わないときは、輪郭やクレーターなど明暗差のある場所へ。雲が手前にかかるなどの条件ではピントが合いにくいこともあるため、AFだけに頼り続ける必要はありません。
- AFで合わなければ、MF(マニュアルフォーカス)へ切り替える
- ライブビュー画面で月を拡大表示する
- フォーカスリングをゆっくり回す
- 月の輪郭や表面の模様が最もシャープに見える位置に合わせる
遠くの月だからといって、フォーカスリングを端まで回せば合うとは限りません。無限遠付近で合うものの、実際の位置は設定や条件によって異なります。目盛りだけで決めず、拡大した月の見え方で判断するのがポイントです。ピントが合った後はMFにして、その位置を保って撮ります。
撮影を続けて月が画面内を移動したときは、すぐにピントを合わせ直すのではなく、まず構図を調整します。月を画面に戻したうえで写りを確かめましょう。拡大表示を使える一眼レフでは、撮影前のピント合わせと撮影後の確認の両方で、輪郭と模様を見る習慣をつけるとよいでしょう。
一眼レフで月をきれいに撮る|失敗対策を取り入れた撮り方
真っ白・ぼやけるときは明るさとブレを分けて見直す
月が白い円になり、表面の模様が消えているなら、まず明るすぎる状態を疑います。撮影後の写真を拡大し、月面の濃淡が残っているかを見てください。ヒストグラムを表示できる場合は、明るさが右端に張り付いていないかも確認します。夜空が黒いことより、月の白い部分が一様になっていないかが判断の中心です。
| 撮れた月の状態 | 最初に見直すこと | 次の調整 |
|---|---|---|
| 白く光って模様が消える | シャッター速度を速くする | まだ明るければISO感度を下げるかF値を大きくする |
| 暗くて模様が見えにくい | シャッター速度を少し遅くする | 遅くしすぎず、必要ならISO感度を上げる |
| 輪郭や模様がはっきりしない | 拡大表示してピントを確認する | 三脚・タイマーとシャッター速度も見直す |
明るさが適切でも、月の輪郭がぼやける場合があります。ピントに加え、カメラの振動や月の動きによるブレも見直しましょう。三脚はカメラを安定させる道具ですが、月の動きまで止めるものではありません。暗いからといってシャッター速度を遅くし続けると、月の動きが写りに影響します。
ソニーの作例では、F8・ISO400の満月を1/5秒と1/500秒で撮り比べ、遅いシャッターで白く光る月を、速い設定で調整しています。この1/500秒が常に正解という意味ではありません。F値やISO感度をむやみに一度に変えず、まず速度を少しずつ変え、複数枚から模様の残る写真を選びましょう。
三日月・半月は満月より暗さに合わせて調整する


丸い月だけが撮影の対象ではありません。欠けた月は、光と影の境界でクレーターのでこぼこした様子が分かりやすくなります。月面の立体感を楽しみたいなら、満月以外の日にも向けてみましょう。月の形・方角・高さは季節や時間帯で変わるため、撮りたい形が見える時期を月齢カレンダーなどで調べておきます。
三日月や半月は、満月と比べて光量が足りないことがよくあります。タムロンは1/100〜1/400秒程度から始め、暗ければ徐々に遅くする方法を紹介しています。ISO感度も100〜200程度から試し、必要に応じて400、800などへ。満月でうまく撮れた設定をそのまま正解とせず、その日の月に合わせます。
同じ解説では、三日月や半月で明るさを確保する際のF値として、F4〜F6程度も挙げています。暗い月ではF値を小さくする選択肢がありますが、使える値はレンズの仕様次第です。遅いシャッターに頼りすぎず、F値とISO感度も含めて調整し、三脚でブレを抑えましょう。
撮影前には月の出・月の入り、方角や高度も確認します。月面をできるだけシャープに撮る目的なら、ニコンの解説では、大気の影響を少なくする点で月の高度が高いときが有利とされています。一方、空のグラデーションと欠けた月を組み合わせるなら、タムロンはマジックアワーやブルーアワーの撮影も勧めています。
細部を見せたいか、空の色も残したいかで狙いを決めましょう。
小さく写った月はトリミングし、色は好みに整える
月が小さく写ったら、写真編集ソフトで周囲を切り抜くトリミングを使います。撮影時に画面いっぱいにしなくても、月を中心に切り抜けば大きく見せられます。200〜300mmの望遠レンズで撮る場合は、撮影時の大きさだけを追うより、適切な明るさとピントで模様を残しておくことを優先しましょう。
月の色を整えるには、ホワイトバランスを使います。まずオートで撮り、好みと違えばプリセットを比べる方法で十分です。暖かみを出したいなら「曇天」や「日陰」、青白い印象に寄せたいなら「電球」が候補になります。月の見える位置や時間帯によって実際の色も変わるため、一つの色だけを正解とする必要はありません。
色温度を指定できる場合は、数値を低くすると青みがかり、高くすると赤みが増します。黄色やオレンジを少し強めたいときにも使える調整です。明るさやピントがまだ整っていない段階では色に時間をかけすぎず、まず輪郭と模様を確かめ、その後で仕上がりの印象を決めるとよいでしょう。
撮影後に色や画質をじっくり調整したいなら、RAWも同時に保存する方法があります。ニコンの解説では、JPEGより多くの被写体情報を記録でき、撮影後のRAW現像でホワイトバランスなどを調整できる点を紹介しています。
RAWとJPEGを残しておき、JPEGの仕上がりで満足できればそのまま使い、調整したい写真だけRAWを活用する考え方です。現像の手間は増えますが、色を後で決めたい人に向いています。
月と風景を一緒に撮るなら明るさと位置を優先する


月単独で模様を写せても、同じ設定で夜景まで明るく写るとは限りません。月に明るさを合わせると風景が暗くなり、風景を明るくしようとすると月が白飛びしやすくなります。月と地上の明るさの差が、ここでの難しさです。風景も残したい場合は、設定だけで解決しようとせず、撮る時間帯も選びましょう。
タムロンは、月の出や月の入りを狙う方法を紹介しています。月が地平線近くにあるときは月の光が弱く、自然や建物との明るさのバランスを取りやすくなるためです。月の細部を優先するなら高い位置、地上の景色と組み合わせるなら低い位置も候補、というように撮影の目的に合わせて選びます。
風景を広く収めたいなら広角レンズ、建物の背後に月を大きく見せたいなら望遠での構図が候補です。ニコンのNICO STOPには、建造物から離れた位置で望遠撮影し、建物と月の大きさの対比を見せた作例があります。こうした撮影では、月と建物が重なる時刻と、その角度から撮れる場所を事前に探すことが大切。
超望遠では位置のずれも大きく見えるため、撮影位置の微調整が必要です。
撮影後に編集する場合も、撮る段階では月の白飛びを抑えます。NICO STOPの編集例では、月と地上の明るさの差が大きいとき、月が白飛びしない範囲で露出を上げ、地上の情報もできるだけ残しています。その後、月と建物の明るさを個別に調整しています。
月単独の設定を覚えたら、次は「どの風景と、どの位置で重ねるか」を決めて撮ってみましょう。
一眼レフで月を撮る|設定を取り入れた撮り方のまとめ
この記事のまとめです。
- 晴天ではっきり見える満月は、Mモード・F8〜F10・1/100〜1/400秒・ISO100〜200を出発点にする
- 設定値は固定せず、撮影した月の輪郭や模様を拡大して調整する
- 200〜300mmでも撮影を始められ、月が小さければ撮影後にトリミングする
- 月を大きく撮るときや暗い三日月には三脚が役立ち、レリーズはセルフタイマーで代用できる
- 明るい満月は手持ちでも撮影可能で、ブレが気になる場合は1/500秒程度を試す
- AFで合わなければMFと拡大表示を使い、リングの端ではなく月の見え方でピントを決める
- 白飛びしたらまずシャッター速度を速くし、ぼやける場合はピントと振動、月の動きも見直す
- 三日月や半月は満月より暗い場合があり、速度・F値・ISO感度を調整する
- 月の色はホワイトバランスで整え、撮影後にじっくり調整するならRAWの同時保存も候補になる
- 風景と月を一緒に撮る場合は、明るさの差と月の位置を考え、月の出や月の入りも狙う









