カメラのセンサーサイズを比較|画質・ボケの違いと用途別の選び方

カメラのセンサーサイズを比較|画質・ボケの違いと用途別の選び方

カメラのセンサーサイズは、暗い場所での画質や大きな背景ボケを重視するならフルサイズ、持ち運びや望遠撮影とのバランスを重視するならAPS-Cが選択の目安です。レンズまで含めた小型軽量さを求めるならマイクロフォーサーズ、コンパクトデジタルカメラでは1型も比較対象になります。

ただし、大きさだけでカメラの良し悪しは決まりません。同じレンズでも写る範囲が変わり、ボケにはレンズや撮影距離も関係します。まずサイズと写りの違いを押さえ、そのうえで「何を撮るか」「どこまで機材を持ち歩けるか」から選んでいきましょう。

この記事のポイント
  • 主要センサーサイズの実寸と名称の違い
  • 暗所画質・階調・背景ボケの比較条件
  • 画角を比べる35mm判換算の読み方
  • 撮影用途とレンズを含めた機材選び
目次

カメラのセンサーサイズの種類と写りの違い

センサーサイズとは?画素数との違いを押さえる

センサーサイズとは?画素数との違いを押さえる

センサーサイズとは、カメラに搭載された撮像素子、つまりイメージセンサーの大きさです。センサーは、レンズから入った光を電気信号に変える部品。その情報が画像へと変換されます。フルサイズやAPS-Cという名称は、この部品の大きさを表しています。

一方、画素は画像を構成する最小単位で、ピクセルとも呼ばれます。デジタルカメラの画素数は、撮像素子に配置された画素の数のこと。センサーサイズは物理的な大きさ、画素数はそこに並ぶ画素の数なので、仕様表では別々の項目として見る必要があります。

同じ画素数で比べるなら、センサーが大きいほど1画素あたりの有効面積を大きくできます。大きな画素は光を集めやすく、微妙な光の強弱も捉えやすいという利点があります。「画素数が同じだから写りも同じ」とは考えにくいのは、このためです。

画素数の多さにも役割があります。細部を精細に記録する高解像な表現に関わるため、大判印刷などを考える場合には大切な項目。ただし、画素数が増えると画像の容量も大きくなります。センサーの大きさと画素数を一つの数字にまとめず、暗所での写りと細部の表現を分けて比較しましょう。

フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズ・1型の大きさ

まずは名称と実寸を対応させてみましょう。下表は代表的な寸法の目安です。APS-Cはメーカーや機種によって寸法が異なるため、一つの数値をすべてのカメラへ当てはめることはできません。

センサーの呼び方代表的な寸法の目安比較するときのポイント
35mmフルサイズ約36×24mmこの表の4種類では最も大きい
APS-C約23.5×15.6mm、キヤノンでは22.3×14.9mmなどメーカー・機種による寸法差がある
マイクロフォーサーズの4/3型約17.3×13.0mmフォーサーズと撮像素子サイズは同じ
1型・1.0型13.2×8.8mmコンパクトデジタルカメラに採用されるサイズ

「35mmフルサイズ」の35mmは、写真用フィルムに由来する名称です。センサーの横幅が35mmという意味ではありません。また、APS-Cも写真フィルムの規格から来た呼び方。名称をそのまま寸法として読むより、仕様表にあるmm単位の値を見るほうが確実です。

マイクロフォーサーズの「マイクロ」は、フォーサーズよりセンサーが小さいという意味ではありません。両者の撮像素子サイズは同じで、マイクロフォーサーズはミラーレス構造に最適化した拡張規格です。小型化しているのは撮影システムとしての構造、と捉えると混同を避けられます。

1型は「1インチセンサー」と呼ばれることもありますが、センサー自体の大きさが1インチという意味ではありません。型の呼び方には、かつて使われた撮像管の寸法に由来する背景があります。1型・4/3型という数字を、そのままセンサーの横幅や対角線の実寸として扱わないようにしましょう。

画質・暗所ノイズ・階調はどう変わる?

画質・暗所ノイズ・階調はどう変わる?

大きなセンサーの利点が表れやすいのは、夜景や暗い室内など、光が少ない場面です。ソニーは、センサーサイズが大きいほど多くの光を取り込めるため、暗い場所でもノイズを抑えた撮影ができると説明しています。夜間にISO感度を上げて撮る機会が多いなら、フルサイズは有力な候補です。

タムロンも、フルサイズはAPS-Cに比べ、暗所での高感度撮影で高画質な写真を撮りやすいとしています。ただし、これはAPS-Cでは暗所を撮れないという意味ではありません。APS-Cでも光を十分に取り込めるとするメーカーの説明があり、差が気になるかどうかは撮影場面や求める仕上がりに関わります。

もう一つは明暗や色のグラデーションです。センサーが認識できる明暗の幅を「ダイナミックレンジ」と呼び、広いほど白とびや黒つぶれが起きにくくなります。一般的には大きなセンサーほどこの幅が広く、フルサイズはAPS-Cより豊かな階調を得られる傾向があります。

夕景など、滑らかな濃淡を残したい場面で注目したい違いです。

とはいえ、センサーサイズだけで個々のカメラの画質を順位付けするのは避けたいところ。画像にはセンサーの情報を処理する画像処理エンジンが関わり、レンズもセンサーの性能を引き出す要素です。サイズの違いは比較の出発点として使い、最終的には候補機種の作例や組み合わせるレンズまで見て判断しましょう。

背景のボケはセンサーとレンズの条件で考える

人物や花の背景を大きくぼかしたいなら、フルサイズの特徴が生きます。ボケを考えるときに出てくる「被写界深度」は、ピントが合ったように見える奥行き方向の範囲のこと。ボケが多い写真を「被写界深度が浅い」、ボケが少ない写真を「深い」と表現します。

ここでは、比較条件に注意が必要です。キヤノンは、同じレンズで同じ被写体を同じ大きさに写す場合を例に説明しています。APS-Cは写る範囲が狭いため、フルサイズより後ろへ下がって撮る必要があります。フルサイズでは被写体に近づいて撮ることになり、その結果、背景のボケが強くなるという説明です。

APS-Cでも、レンズと撮り方を工夫すれば背景をぼかせます。F値の小さい明るいレンズを使う、絞り値を小さく設定する、望遠側の焦点距離を使う、といった方法です。被写体へ近づき、背景を離すこともボケを得やすくする条件になります。

レンズ選びでは「開放F値」も見ておきましょう。これはレンズの絞りを最も開いた状態のF値です。数値が小さいほど明るい状態になり、背景をぼかした写真や暗所での撮影に役立ちます。ボケを増やすことが目的なら、カメラ本体のサイズ変更と、明るいレンズの導入を並べて検討する余地があります。

カメラのセンサーサイズを撮影用途から選ぶ

画角と35mm判換算を読むとレンズ選びが変わる

画角は、写真に写る範囲を角度で示したものです。同じレンズを同じ焦点距離で使い、同じ場所から撮ると、APS-Cはフルサイズより写る範囲が狭くなります。小さなセンサーでは、レンズを通った像のうち受け取る範囲が小さくなるためです。

この写る範囲をフルサイズ基準で比較する表し方が、35mm判換算の焦点距離です。ソニーのAPS-Cでは約1.5倍、キヤノンのAPS-Cでは約1.6倍が目安。マイクロフォーサーズは約2倍です。仮に焦点距離50mmで比較すると、次のようになります。

使用するカメラのセンサー換算倍率の目安焦点距離50mmの35mm判換算
フルサイズ基準50mm
ソニーのAPS-C約1.5倍約75mm相当
キヤノンのAPS-C約1.6倍約80mm相当
マイクロフォーサーズ約2倍約100mm相当

「75mm相当」は、50mmのレンズそのものが75mmへ変わるという意味ではありません。フルサイズで75mmを使った場合に相当する画角、ということです。ソニーの焦点距離解説も、同じ焦点距離のレンズでセンサーサイズによって画角が変わると説明しています。

この違いは、遠くの被写体を大きく写す際には利点になります。一方、広い風景を写したいなら、APS-Cではより短い焦点距離のレンズを選ぶ必要があります。APS-Cでも広角撮影は可能ですから、「小さなセンサーだから風景に使えない」と考える必要はありません。

焦点距離の数字とセンサーサイズを組み合わせて判断します。

持ち運びやすさはカメラ本体とレンズを一緒に比較する

持ち運びやすさはカメラ本体とレンズを一緒に比較する

旅行や散歩で機材を持ち歩くなら、センサーサイズによる写りの違いと同じくらい、本体とレンズの大きさが気になります。APS-Cはフルサイズに比べ、ボディも専用レンズもコンパクトで軽量な製品が多い傾向。荷物を小さくまとめたい場合に検討しやすい選択肢です。

マイクロフォーサーズも、小型軽量を重視する場合の候補です。フォーサーズ&マイクロフォーサーズのサイトは、カメラ本体だけでなく、交換レンズを含めたシステム全体の小型軽量さを特徴に挙げています。特に明るい大口径レンズや超望遠レンズで、機動性を実感しやすいとしています。

ただし、フルサイズは必ず大きく重い、と決めつけることもできません。小型のフルサイズミラーレスがあり、APS-Cの一眼レフと同程度のサイズになるモデルもあります。センサーの名称だけで携帯性を判断せず、候補機種の実寸や重さ、実際に持った感触を見比べたいところです。

予算も同じ考え方です。フルサイズはAPS-Cより高額になる場合が多い一方、本格的なAPS-Cと入門向けフルサイズでは価格の関係が変わることもあります。本体の価格だけでなく、使いたい対応レンズの種類と価格も含めて比較しましょう。軽さも費用も、組み合わせる機材によって変わります。

旅行・人物・夜景・望遠撮影ではどのサイズを選ぶ?

用途から選ぶときは、撮影ジャンルだけでなく、その場面で何を優先したいかまで考えます。同じ人物撮影でも、大きな背景ボケを求める場合と、日常の記念写真を気軽に撮る場合では、重視する条件が変わります。

撮影場面・重視すること比較の出発点になるサイズ選ぶ理由・条件
旅行・日常で持ち運びを重視APS-C、マイクロフォーサーズ本体とレンズを含めた小型軽量さを重視
コンパクトデジタルカメラを検討1型センサーだけでなく、搭載レンズも合わせて見る
人物の背景を大きくぼかしたいフルサイズ同じ被写体を同じ大きさに写す比較でボケを得やすい
夜景・暗い室内で高感度画質を重視フルサイズノイズを抑えた撮影の利点に注目
野鳥・飛行機・運動会などの望遠撮影APS-C、マイクロフォーサーズ換算画角と望遠レンズを含めた機材の大きさを比較
風景の広がりや夕景の階調を重視フルサイズを中心に比較広角表現や階調の利点を重視。APS-Cでも適切なレンズで撮影可能

人物撮影をしたいからといって、フルサイズに限定する必要はありません。APS-Cもポートレートやスナップに使えるサイズです。街歩きや家族の記念写真を撮りながら、必要に応じて明るいレンズを選ぶ考え方もあります。ボケをどこまで求めるかと、持ち歩きやすさの優先度を合わせて考えましょう。

望遠撮影では、APS-Cの狭い画角を利点として使えます。ソニーは、近づけない野生動物や飛行機の撮影でAPS-Cを選ぶ場合があると紹介しています。マイクロフォーサーズも約2倍の換算画角と、超望遠レンズを含む小型軽量さが検討材料。

ただし、換算倍率は写る範囲の比較であり、それだけで写真の細部の描写まで保証する数字ではありません。

迷う場合は、まず「暗所画質やボケを優先する」「持ち運びや望遠撮影を優先する」のどちらが近いかを決めてみてください。前者ならフルサイズ、後者ならAPS-Cやマイクロフォーサーズを中心に比較できます。初心者でも撮りたいものが明確なら、その目的から選んで構いません。

サイズによる単純な優劣より、用途と予算の釣り合いが大切です。

購入前はレンズの対応規格と仕様表を確認する

購入前はレンズの対応規格と仕様表を確認する

センサーサイズが決まったら、次は使いたいレンズとの組み合わせです。同じAPS-Cというだけで、すべてのレンズが使えるわけではありません。カメラが対応するレンズマウントと、レンズが対応するセンサーサイズを別々に見る必要があります。

手元のレンズを使い続けたい場合も、名称だけで互換性を判断しないようにしましょう。

たとえばソニーのEマウントレンズでは、品名の先頭が「E」ならAPS-C用、「FE」ならフルサイズ用です。FEレンズはAPS-Cのボディでも使用できますが、写る範囲はAPS-Cの画角になります。

将来フルサイズへ移行することを考えてFEレンズを選ぶ方法もありますが、APS-C専用レンズの小型軽量さとの比較は残ります。

逆方向の組み合わせには、機種ごとの条件があります。ソニーはα7シリーズなどのフルサイズボディでAPS-C用レンズを使う場合、APS-C相当の撮影設定を案内しています。「装着できること」と「フルサイズの範囲を使って撮れること」は分けて考えたい点です。

具体的な設定や制限は、対象ボディの説明書・サポート情報に合わせます。

マイクロフォーサーズはメーカーの枠を越えてボディとレンズを組み合わせられる規格です。ただし、「フォーサーズ&マイクロフォーサーズ」のFAQでは、標準化されているのはAEやAFなどの基本性能の部分と説明されています。異なるメーカーの組み合わせで、独自機能まで同じように使えるとは限りません。

使いたい機能がある場合は、その組み合わせへの対応も見ておきましょう。

  1. カメラの撮像素子の種類・実寸と、有効画素数を別々に見る
  2. レンズの対応マウントと対応センサーサイズを確かめる
  3. 焦点距離を35mm判換算で読み、欲しい画角になるか考える
  4. 暗所やボケを重視するなら、レンズの開放F値も比較する
  5. 本体とレンズを組み合わせた大きさ・重さ・費用で決める

カメラのセンサーサイズと選び方のまとめ

この記事のまとめです。

  • センサーサイズは撮像素子の物理的な大きさ、画素数はそこに配置された画素の数
  • 同じ画素数なら、大きなセンサーほど1画素あたりの有効面積を大きくできる
  • フルサイズは約36×24mm。APS-Cの実寸はメーカーや機種によって異なる
  • マイクロフォーサーズとフォーサーズの撮像素子サイズは同じ。1型は実寸1インチという意味ではない
  • 暗所で高感度撮影をする機会が多いなら、フルサイズのノイズ抑制や階調の利点に注目
  • ボケは被写体を同じ大きさに写す条件で比較し、レンズのF値や撮影距離も考える
  • 35mm判換算は画角を比べる表現。APS-Cの倍率はメーカーで異なり、マイクロフォーサーズは約2倍
  • 旅行や望遠撮影ではAPS-Cやマイクロフォーサーズが候補。本体とレンズを合わせて携帯性を比較
  • 小型のフルサイズや高額なAPS-Cもあるため、重さや価格をセンサー名だけで決めつけない
  • 購入前はレンズの対応マウント・センサーサイズ・換算画角・開放F値を確認し、用途と予算で選ぶ
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この記事を書いた人

カメラ・双眼鏡・撮影用品の選び方を、使う場面から整理。手持ちの機材との相性や、保管の準備も一緒に確認していきます。

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