スマホは双眼鏡代わりになる?撮影方法とアダプターの選び方

スマホは双眼鏡代わりになる?撮影方法とアダプターの選び方

スマホで遠くを拡大したいなら、まず「スマホだけで見る」のか、「双眼鏡で見える景色を撮る」のかを分けましょう。画像を拡大するデジタルズームと、双眼鏡にスマホを取り付ける望遠撮影は仕組みが異なります。後者には、レンズの位置を合わせて保持するアダプターが役立ちます。

選ぶ順番は、使い方、手持ち機材の適合、位置調整のしやすさ。アダプターの商品名に「スマホ対応」とあっても、端末の幅だけで取り付けられるとは限りません。接眼部の形状やカメラの位置、専用リングの要否まで見ていきます。

この記事のポイント
  • スマホ単体の拡大と双眼鏡を使う撮影の違い
  • 端末寸法・カメラ位置・接眼部の適合条件
  • 調整方法と対応リングで比べるアダプター3製品
  • 黒い影・レンズ切り替え・ブレの確認ポイント
目次

スマホと双眼鏡の使い分け・アダプターの選び方

スマホのズームやアプリは双眼鏡代わりになる?

スマホのズームやアプリは双眼鏡代わりになる?

画面で被写体を拡大する用途と、両目で景色を観察する用途は分けて考えるのがよいでしょう。コーワの解説では、双眼鏡は左右のレンズを通して両目で観察する機器。スポッティングスコープと比べると、一般に倍率が低く視野が広いため、手持ちでの観察や屋外のスポーツ観戦に適していると説明されています。

スマホやアプリの倍率を見るときに区別したいのが、光学的な拡大とデジタルズームです。OMデジタルソリューションズの基礎解説では、光学ズームはレンズを動かして焦点距離を変える仕組み。デジタルズームは、写った画像の一部を切り取って補完拡大するため、画像が粗くなることがあります。

デジタルズームの大きな倍率表示だけでは、遠くの細部まで鮮明に見えるとは判断できません。

双眼鏡と組み合わせるためのカメラアプリもあります。たとえばコーワの「超望遠カメラ」は、電子ズームの範囲設定や撮影時のトリミングを案内しています。ただし、その案内の推奨機種はiPhone 4/4S/5/5S/5Cという旧世代。

現在の端末で使えるアプリとして、そのまま選ぶ根拠にはできません。アプリ名に「双眼鏡」「望遠」とあっても、拡大の方法と対応機種を分けて見る必要があります。

双眼鏡にスマホを取り付けると何ができる?

対応するアダプターを使えば、双眼鏡にスマホを取り付けて望遠撮影できます。ケンコー・トキナーは、双眼鏡・天体望遠鏡・フィールドスコープの接眼レンズにスマホを取り付け、野鳥や風景などを撮影する用途を案内しています。双眼鏡での観察に加えて、景色を写真に残したい人が検討する方法です。

基本となるのは、光学機器の接眼レンズとスマホのカメラレンズの位置合わせ。ビクセンは、スマホのカメラを接眼レンズに近づけ、光軸をそろえることで撮影できると説明しています。一方、その位置を手で維持しながら撮るのは難しく、アダプターは光軸の合った状態を保持するための道具です。

つまり、アダプター選びで注目したいのは「何倍になるか」よりも、手持ちの機材をつなげられるか、レンズの中心を合わせられるかという点。接眼部を挟む寸法調整式と、機種に合ったリングを使う方式では、購入前に照合する項目も変わります。

対応はスマホの幅・レンズ位置・接眼部で判断する

対応はスマホの幅・レンズ位置・接眼部で判断する

最初に見るのは、スマホ側と双眼鏡側の両方の条件です。端末の幅が収まっても、カメラの位置が調整範囲から外れていれば、必要な位置合わせができるとはいえません。また、接眼部に固定する製品では、直径だけでなく形状や高さが条件になることもあります。

確認する箇所見る項目条件の具体例
スマホ本体幅・高さ・厚さ・質量ビクセンは幅58~110mm、高さ108~200mm、厚さ15mm以下、耐荷重は約300g以下を推奨
スマホのカメラ位置レンズ中心から端末の各端までビクセンは左10~40mm、右23~70mm、上6~45mm、下81~158mm以内
光学機器の接眼部直径・高さ・形状ビクセンは直径19~53mm、高さ20mm以上の円筒形
専用リング方式双眼鏡のシリーズと対応リングコーワTSN-UN1はリングが別途必要。SVII 25シリーズは使用不可

表のビクセンの数値は、同社の「スマートフォン用 カメラアダプター」の条件です。ほかの製品へ流用はできません。たとえばコーワTSN-UN1の公式販売案内では、スマホの許容サイズは幅65~85mm、厚み7~12mm、質量300g以下。同じスマホ用アダプターでも、厚さの下限が示されるなど違いがあります。

双眼鏡のシリーズ名も最後まで照合しましょう。コーワの適合表にはSVII 50/42/32シリーズの記載がありますが、脚注ではSVII 25シリーズを使用不可としています。「同じメーカー」「同じシリーズの仲間」というだけで対応を広げず、手持ちの型番まで一致させることが大切です。

アダプター3製品は適合条件と調整方法で比べる

製品選ぶ際の着眼点スマホ・接眼部の条件
SKY WALKER スマホアダプター SW-SA01/ケンコー・トキナー上下・左右の調整ノブで中心位置を微調整双眼鏡への使用を明記。端末幅・接眼径の対応範囲はメーカーへ要確認
スマートフォン用 カメラアダプター/ビクセン取付部を無段階調整。寸法とレンズ位置で照合幅58~110mm、高さ108~200mm、厚さ15mm以下。接眼部は直径19~53mm、高さ20mm以上の円筒形など
TSN-UN1/コーワコーワの対応双眼鏡とリングの組み合わせで選択スマホは幅65~85mm、厚み7~12mm、質量300g以下。適合リングが別途必要

SKY WALKER スマホアダプター SW-SA01は、位置合わせの操作を重視する人の候補です。X軸・Y軸の調整ノブで上下左右に動かせるため、複数カメラを持つスマホで撮影レンズが切り替わった場合にも、位置を合わせ直せるとメーカーは説明しています。

ただし、製品仕様にある本体サイズを、対応するスマホのサイズと読み替えないようにしましょう。購入前には端末と接眼部の適合確認が必要です。

ビクセンのスマートフォン用 カメラアダプターは、寸法条件を具体的に照合できる候補。円筒形の接眼部に柔軟に対応すると案内されていますが、双眼鏡なら一律に取り付けられるという意味ではありません。前の表に挙げた接眼部と端末の条件、レンズ中心から各端までの距離を一組として判断します。

耐荷重の「約300g以下」は推奨値という表現も保っておきたい点です。

コーワのTSN-UN1は、対応するコーワ双眼鏡を持っている人が検討しやすい製品です。適合表では、GENESIS44シリーズにはTSN-AR44GE、GENESIS33シリーズにはTSN-AR33GEを指定しています。

本体だけで完結する買い物ではなく、双眼鏡に合う別途必要なリングと、スマホの許容サイズを合わせて確認します。

スマホで双眼鏡撮影をするときの位置合わせと対処法

まず使用中のカメラと接眼レンズの中心を合わせる

接続時の要点は、スマホの画面に像が見える位置へレンズを合わせ、その状態を保持することです。アダプターに端末を固定できた時点で、撮影の準備がすべて終わるわけではありません。特にカメラが複数あるスマホでは、撮影に使っているレンズを取り違えないことが出発点になります。

ビクセンの天体望遠鏡で月を撮る手順では、カメラを起動し、画面を見ながらレンズを一つずつ塞いで、標準撮影に使うレンズを事前に確認しています。その後、望遠鏡側で月にピントを合わせ、スマホをアダプターへ固定し、接眼レンズにまっすぐ取り付ける流れです。

双眼鏡でもレンズの中心を合わせる点は重要ですが、固定の順序や締め方は使用するアダプターの説明書に従います。

画面を見るときは、像が入っているかに加えて、スマホが接眼レンズに対して傾いていないかも見ます。同じビクセンの手順では、画面が真っ黒なら大きな位置ずれを疑って取り付けをやり直し、一部が黒い程度なら取り付けた状態で微調整するとしています。いきなり拡大操作をする前に、中心と傾きの確認です。

画面の隅が黒いときは位置ずれとケラレを確認する

画面の隅が黒いときは位置ずれとケラレを確認する

撮影画面の隅に黒い影が出る現象は「ケラレ」と呼ばれます。ビクセンのフィールドスコープ撮影の解説では、スコープとスマホの光軸が一直線にそろっていないことが、ケラレや画質低下につながるとされています。黒い部分が見えたら、まずレンズの位置合わせを点検する理由はここにあります。

一方で、位置を合わせればあらゆる組み合わせで黒い影がなくなる、とまではいえません。同社はフィールドスコープの機材選びについて、広い視野でアイレリーフの長い接眼レンズがケラレの軽減に有効とも説明しています。位置合わせに加え、接眼レンズ側の条件も関わるということです。

これを、手持ちの双眼鏡で接眼レンズを交換できるという案内に読み替えないでください。

電子ズームを利用する方法もあります。コーワの旧世代iPhone向けアプリの案内は、双眼鏡などを取り付けたときのケラレに対して、電子ズームの範囲設定を紹介しています。ただし、画像の拡大処理と光学的な拡大は別。

黒い部分が画面から外れたことと、細部の画質がよくなったことは同じではないため、保存した写真の見え方まで確かめましょう。

途中で像が消えたらスマホのレンズ切り替えも見る

最初は見えていた像が途中で見えなくなった場合、固定位置だけでなく、スマホが使うカメラの変化にも目を向けます。ケンコー・トキナーは、複数レンズのあるスマホでは、撮影中に別のレンズへ切り替わることがあると説明しています。位置を合わせたレンズと撮影中のレンズが同じか、再確認する場面です。

SW-SA01の上下・左右の調整ノブは、このような切り替え後に位置を合わせ直すためにも使えます。ここでいう利点は、切り替えに応じて調整しやすいこと。アダプターがスマホのレンズ切り替えそのものを止める機能ではありません。

複数カメラの端末で使うなら、取り付けられるかに加え、合わせ直す操作のしやすさを選択条件に含めるとよいでしょう。

ぼやける写真はピントとシャッター時のブレを分けて考える

ぼやける写真はピントとシャッター時のブレを分けて考える

レンズの中心が合っていても、撮影時のブレは別に残ります。コーワのコリメート撮影の解説でも、光軸を一致させることと、シャッターブレに注意することをそれぞれ挙げています。アダプターは位置を保持する道具なので、それだけで写真のブレまで解消すると期待しないほうがよいでしょう。

具体的な操作の参考になるのが、ビクセンのスマホと天体望遠鏡による月の撮影手順です。望遠鏡で先に月へピントを合わせ、スマホを取り付けた後に画面を見て望遠鏡のピントがずれていないかを確認し、最後にスマホのピントを調整します。

「光学機器側で合っているか」と「カメラ側で合っているか」を分けて確かめる順序です。

同社は、シャッターを切る瞬間にスマホへ触れることがブレの原因になるとして、リモコンやセルフタイマーの利用も紹介しています。月が明るすぎる場合には、露出の手動調整も案内。これらは天体望遠鏡での月撮影の説明なので、双眼鏡で撮るすべての被写体に同じ設定値を当てはめるものではありません。

位置、ピント、シャッター操作を一度に変えず、写真のどこが気になるかに応じて見直しましょう。

スマホと双眼鏡の使い分け・撮影方法のまとめ

この記事のまとめです。

  • スマホだけで拡大する用途と、双眼鏡の景色を撮影する用途を分けて選ぶ
  • デジタルズームは画像の一部を拡大するため、倍率表示だけで細部の鮮明さを判断しない
  • スマホアダプターは、接眼レンズとカメラの光軸が合った状態を保持する道具
  • 適合は端末の幅だけでなく、高さ・厚さ・質量・カメラ位置と接眼部の条件で判断する
  • SW-SA01は上下左右の微調整が特徴。端末と接眼部の対応範囲は購入前に確認する
  • ビクセンのアダプターは、円筒形接眼部の寸法と端末・レンズ位置の条件を一組で照合する
  • コーワTSN-UN1は適合リングが別途必要。SVII 25シリーズは使用不可
  • 黒い影が出たら中心位置と傾きを点検。位置合わせだけでケラレが必ずなくなるわけではない
  • 複数カメラのスマホでは撮影中のレンズ切り替えにも注意し、必要に応じて位置を合わせ直す
  • ピントとシャッター時のブレは別に確認。ビクセンの月撮影案内ではセルフタイマーなどを紹介
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この記事を書いた人

カメラ・双眼鏡・撮影用品の選び方を、使う場面から整理。手持ちの機材との相性や、保管の準備も一緒に確認していきます。

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